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第4回 岡本卓也さん(東山いきいき市民活動センター) さいきん、なに考えてる?

第4回は、京都でまちづくり関係に携わっておられる、岡本卓也さん。
京都市東山いきいき市民活動センター長をつとめながら、まちとしごと総合研究所でも活躍なされています。
岡本さんはきっと考えることが好きなんだろうなとひしひしと伝わってくるインタビューになりました。わたしが思考するときとは少し違った方向からいろんなことを考えていらして、聞いているだけで頭が柔らかくなる気分になります。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。(ひの)

 

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──
岡本さん、簡単に自己紹介からお願いします。

 

岡本
はい、岡本と言います、よろしくお願いします。
どんな自己紹介したらいいですか。

 

──
なんでも大丈夫ですよ。サクッとでも、がっつりでも。

 

岡本
じゃあ…仕事はまちづくり関係のことをしています。
地域の人たちの成し遂げたいことを形にしたり、それぞれをどう組み合わせていくかを話し合いながら考えて実行するようなお仕事ですね。他にも、社会的な取り組みをしたい人の伴走、ボランティアのコーディネート、いろんなワークショップのファシリテーションなど…そういう感じのことをやってます。

 

──
ありがとうございます。
さっそくですが、コロナ期間中、いきいきセンターはどうされてましたか?

 

岡本
休館してました。
ただ、部屋の貸し出しはストップしているんですが、スタッフは配置しないといけないので…。

 

──
なるほど。そのあいだ、スタッフの方々はどんなことをしていたんですか?

 

岡本
うちは東山地域をフィールドにしてるので、スタッフはこの期間にもう一度東山を深く調べていましたね。あとはリモートワークにチャレンジしてみたり。

 

──
おお、リモートワーク。

 

岡本
ネット上でオフィスを作って、一般の方々にも「よかったら場所いっぱいあるから使ってみる?」みたいな感じで、ひらいたりして。

 

──
ツールを使って、部屋をたくさん作るってことですね。

 

岡本
そうです。僕らは、リモートワーク中にスタッフが調べたことや感じたことを共有する場としてバーチャルオフィスを使ってたんですけど、テーブルが余ってるし、それをひらいてみようと思って。そんな、バーチャルオフィスを実験的にやってみたり。

 

──
やってみて、どうでしたか?

 

岡本
おもしろかったですよ。来た人たちが打ち合わせをしたりだとか、はたまた雑談をしたりだとか。あと、バーチャルってよく分からないねんけどっていうおばあちゃんたちとか…ほんとに色んな人達が使ってくれて。この自粛期間は、社会実験として何かを試してみたり、色んなことができる時間帯でした。

 

 

──
周りでも、色んなオンラインの取り組みをされてる方はいましたが、バーチャルオフィスをやってるのは初めて聞きました。ネット上で場所を解放する。

 

岡本
僕らが運営してる市民活動センターにはひらかれたロビーがあって、その「ひらかれた場所」が強みだったんですよ。でも自粛期間中は使えないから、その強みをオンラインでなんとか補完できないかなと。それに、バーチャルオフィスという形式なら、そもそもが僕らのために行なっていることなので、人が来なくても全然痛手じゃないんですよね。

 

──
僕らは僕らで打ち合わせしているっていうのがベースにありますもんね。

 

 

岡本
でも、この目的が逆転してしまうと厳しいんですよ。1ヶ月間やってると、もちろん誰も来ない日があるんですよ。そこで、会を開くことが目的になってしまうと、「誰も来なかった、どうしたらいいんだろう」になっちゃう。

 

──
会を開くことが目的になると、趣旨だったり目的だったりがまた変わってきますもんね。

 

岡本
今回のことは、震災と同程度、それ以上のインパクトでした。こんなときにどう動くべきなのか、なにが必要なのかを全国民が体感する、ものすごく稀有なことが起こったなと。

 

──
そうですね。災害であれば、被害に遭われた方や地域が被害者になるんですけど、今回は全国民…世界全体が当事者になったので、全員の問題になりましたね。戦後、そんなことなかったんじゃないかと。

 

岡本
おっしゃる通り、全員が当事者になりました。やっぱり、その中でどう動くか。色んな課題を発見したり、再認識したり。

 

──
僕、熊本地震の際に、一年間現地で支援をずっとやってたんですけど、災害支援って地域おこしや地方活性と本質は似ているんです。災害が起きたことで出てくる課題は、実はその地域が潜在的に持ってた課題が、災害を通して浮彫になっただけなんですよ。

 

 

岡本
今回でも、いろんな課題が出てきましたけど、冷静に見ると潜在的な課題が浮き彫りになっただけなんじゃないかと。自分自身もそうですし、周りもそうでした。

うちのセンターにも、子供が「暇だー!」って来たりしました。そこから、子育てについても考えたり。

 

──
子育て、ですか?

 

岡本
はい。
リモートワークが推進されたことによって、男性が子育てに触れる機会が増えたと思うんです。これ、ほんと自分が体感したことなので(笑)

 

──
うわあ、その話すごく興味あります。

 

岡本
保育所も使えないわけだから、リモートワークだと子供の横で仕事をするんです。よく、「家で仕事してる間に家事すればいいじゃない」ってポロっと言っちゃいがちだったんですけど、実際やってみたら無理じゃん、って。

 

──
ああー。

 

岡本
デスクで仕事してて、横で子供が「遊んで遊んで!」ってしがみついてきたり、「わーんわーん」って泣いてたり。そんなの、集中して仕事できないよねって。

じゃあどうしよう?と、子育てのいろんな工夫が今回たくさん出てきたんじゃないかなと。

 

──
リモートワークで男性の子育て…。全く思いつきませんでした。

 

岡本
僕もなるべく、リモートワークで仕事をしながら子供の面倒も見て。でも、ウェブ会議とかオンラインの場づくりをやってたりすると、そこに子供がばあああっと映り込んだり。

 

──
ははは。

 

岡本
それをよしとする場もあれば、そういうのはちょっと困るっていう場もあって。

 

──
ああ、そうなんですね。

 

岡本
そこで感じたのが、これからは家の中身も重要になってくるんじゃないか?と。

 

──
「家の中身」ですか?

 

岡本
間取り、と言いますか。ふすまや戸で仕切られていない家もあるじゃないですか。

 

──
なるほど、丸見えだし丸聞こえ。

 

 

岡本
笑い声や話し声が、寝てる子供や家族に丸聞こえ。そこに配慮しなきゃいけないから、オンラインの飲み会つらいんだよねっていう話を聞いたりもしました。

 

──
知り合いの方が、「オンラインの場が増えて、遠くに住んでる人や時間が合いにくい人とも会いやすくなったけど、ただその分、オンラインの向こう側にいる人たちとの時間を奪ってしまっているという認識はちゃんと持っておかなきゃいけないよね」と、雑談の中で言っていたのがすごく記憶に残っているんです。向こう側にいる人との時間を奪っているって認識、持ててなかったなぁ。

 

岡本
あと、オンラインでよく思うのが、オンラインで初めて出会った人の印象がどうしても薄くなっちゃう。

 

──
五感の受ける情報も半分以下でしょうしね。視覚と聴覚しか使っていないわけですし。

岡本さんの勤める、まちとしごと総合研究所もそうですし、いきいきセンターも含めて、オフラインっていう場づくりがメインじゃないですか。ただ、これから新しい日常に戻り始めたときに、オンラインとオフラインのバランスを見極めなきゃなんないわけですよね。そのあたり、岡本さんの中で見えてる部分であったりするのかなってちょっとお聞きしてみたくて。

 

岡本
難しいですね(笑)
実際どうなるかは読めないですが、オンラインがなくなることはないだろうなと思ってます。利便性に気付いた人たちが圧倒的に多い。

 

──
はい。

 

岡本
なんだかんだ、平場で会うのが一番はありながら、でも、オンラインの気軽さを感じた人が多いんじゃないかな。例えば、オフラインでイベントをやるとなれば、会場代どうするのとか、チラシ作らなきゃ、など費用がかかるけど、オンラインだと基本0で出来るので。

 

──
広告とかも全部ネット上で完結しちゃえば、お金をかけることなくできる。

 

岡本
そう考えると、ハードルが低くなりますよね。なので、何かを始めやすいツールなんじゃないかな。

 

──
なるほど。

 

岡本
しかしその一方で、オンラインにアクセスできる人と、出来ない人がいる。
ご高齢の方は、やっぱりよく分からないって言われるんですよ。このまま置いてけぼりにするわけにもいかない。その問題を解決したときに、オンラインがデフォルトの世の中が完成するんじゃないかなと。

 

──
はい。

 

岡本
あとは、オンラインでちょっと試しにやってみて、感触を試したあとでオフラインでやっていく。

 

──
オンラインに、実験的要素が強くなるってことだ。

 

岡本
そうです。少ない人数で検証してみた結果、いけるね!って感触を掴んだら、オフラインでやってみよう、と。

 

──
オンラインの気軽さやスケジュールの合わせやすさをもっと利用する。

 

岡本
オフラインでイベントをやろうと思ったら、準備と告知を含めて最低でも30日はみるのが基本ですけど、オンラインだったらもう来週やっちゃったらいいんじゃない?みたいな(笑)トライ&エラーの数を増やせるんですよ。

 

 

──
トライ&エラーを量産できる。なるほど!いいことをお聞きしました。
そういえば、岡本さんは「ひらく」という言葉をよく使っていらっしゃいますよね。「ひらく」について、岡本さんなりの意味や考えを聞いてみたいです。

 

岡本
「ひらく」についてですか?うーん、なんだろう... 。

 

──
例えばぼくの分野だと、漢字をひらがなに直すことを「ひらく」と言うんです。
「僕は、君が好きだ」と、「ぼくは、きみがすきだ」では印象がガラッと変わります。

 

岡本
なるほど!僕でいうと...色んな人たちが使えるように一般化することですかね。自分たちだけで抱え込んでしまうと、あまり面白くなくなってしまいます。ガジェットやツールだけでなく、場をひらいていくこと。ひらいてみると、おもしろくなります。

 

──
いい意味で、専門的にしないというか。ニワカ大歓迎というか。

 

岡本
ひらくことで、おもしろいことが起こり得る可能性はたくさんあると思います。

 

──
あまり意識したことがないので、意識してみよう。
いやぁ、ありがとうございます。ぼく、岡本さんと話すの好きなんですよ(笑)

 

岡本
ちゃんとしたこと言えてましたかね。

 

──
いやいやいや、大丈夫です。
岡本さん、なにか最後に話しておきたいこととかありますか?

 

岡本
なんでしょうねぇ。
もうあらかたお話した感じではあります(笑)

 

──
ははは。ひのは何か感想ある?

 

天の声
最初の方に話されてた、見えなかったものが見えるようになる話がすごくおもしろかったです。子供たちが「暇!」って言ってよくセンターに来るっというその事実から、家庭がどうなっているのか考える、私的にすごく斬新でおもしろかったです。

 

岡本
全ての家庭がそうなっているわけではないんですけどね(笑)
ただ、そういう子もいるかもしれないと仮説を立ててみるというか。そうに違いない。になると全然ダメなんですよ。

 

天の声
そうですね。

 

岡本
「もしかして」っていう話をしていくと、結構面白かったり、課題の本質が見えてきたりっていうのはあるんじゃないかな。

 

天の声
岡本さん、考えるのがすごくお好きなんだなって聞いてて思いました。

 

岡本
いやいや、全然ですよ。ははは。

 

──
全然関係のない話から本軸に持ってきたりされるじゃないですか。いろんなところから考えを繋げて、さらに考える。だからおもしろいんだと思います。

 

岡本
やっぱりいろんな人とお話をしているので、その人たちからのつまみ食いだとか、頂きものも結構あるので、全部僕が思いついてるというよりは、その人たちとの話の中でパクったりとかもそうですし、アレンジしたこととかも結構あったりしたと思うので…(笑)

 

──
個の力というか集まりの力…集合知みたいな。それも、「ひらく」ことで得れるものですね。

では最後に、センターとして…もちろん手探りではあると思うんですけど、その中でもこういう姿勢で動いていこうと思っていますみたいな部分とかあれば、無理のない範囲の言葉でお聞きしたいです。

 

岡本
そうですね、難しいですね。
まだそこらへんについては整理ができてないので。どうお答えしたものか。

 

──
もちろん整理できていないとは思うので、例えばどういう風に考えを整理していきたいと思ってますだったり。

 

岡本
まだ模索中なんですけど、そんな中でも一つ言えるのは、やっぱりいろんな人たちがここのセンターにきたりだとか、来なかったとしてもなにかしら自分のやってることをいろんな人たちにひらくことによって、ちょっとでも社会に参画だとか地域に貢献だとか、チャレンジしていく人たちをもう少し広げていきたいなって思います。
一緒に活動するプレイヤーをどんどん増やしていきたいです。そんな人たちと一緒にやっていくことで、それを見た人たちがまた触発されると思いますし。

このことは、変わらず掲げていることではありますので。それをオンラインも上手く使いながらどう加速させていけるかは、まだまだ考えたいですね。

 

──
考えが尽きないテーマでもありますし。
岡本さん、今日はありがとうございました。おもしろかったです。

 

岡本
こちらこそ、ありがとうございました。楽しかったです!

 

 

 

 

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