第6回は、高校生や大学生の就職キャリア支援を行う、グッドライフキャリアの林田雄太さん。
現代の仕事の特徴から、自粛期間後の就活について、講演の技術的なことから、はたまた自身の経験から学んだ就活観まで、さまざまなことを話してくださいました。中でも、「知らないことはやりたいと思えないよ」という一言が、印象的でした。まさに、大学生くらいの皆さんに読んでいただきたい回です。
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──林田さん、よろしくお願いします。
簡単に自己紹介をお願いしてもいいですか?
林田グッドライフキャリアという屋号で、高校生や大学生の就職キャリア支援をさせていただいてます、林田です。よろしくお願いします。
高校生や大学生の就職支援で、高校や大学を訪問して進路とか就職とかキャリアに関する講演活動をさせていただいております。今はウイルスでなかなかそれができていませんが。

──そんなの、ぼくが学生の時はなかったような気がします。覚えていないだけなのかなぁ。
いきなり聞いてみたいのですが、高校と大学で講演される内容はどのように違うのでしょう?
林田そうですね...
大学生ってまだ社会に出たことがないので当たり前なんですが、ビジネスに関する知識はないんですよ。学校で教えているわけでもないし。でも、高校生ってもっとそうなんですよね。
つまり、前提の知識をだいぶ変えていかないといけないなって思ってて。やっぱり自分で思い返してみても、高校一年生の時と大学生の時の常識って全然違ったので。
──なるほど。
林田あと、夢とかやりたいことがないっていう人に対して、よくお話しする内容なんですけど、やりたいことがないのは、自己分析が足りないのではなくて、ただ単に夢とかやりたいことに出会ってない、ただそれだけなんだよって話をさせていただいています。
見つかってないから焦る必要はない。いろんな仕事をして、いろんな人に出会うことによって、自分のやりたいことって見つかるんだよっていう話をしています。
──進学も同じですよね。〇〇を勉強したい!と心から言えることって、まれだと思います。
林田そうなんです。そもそも、どの学部に行きたい以前に、どんな学部があるかって知ってる?って話なんです。多分知ってて経営学部とか経済学部とかだったと思うんですよ。
──はい。
林田知らないことを勉強したいって思うことはできません。だから知ってることを増やすのは、高校生にも大学生にも共通して選択肢を増やすいいメッセージなのかなって思っています。
しかも、最近見えない仕事も増えてきているので。
──見えない仕事、ですか?
林田たとえば今も、オンラインを使ってインタビューしていますよね。要するに、ITのことです。昔より、社会人が何してるのかよくわからないのも、夢が見つかりにくくなる要因なのかなって。
──うーん、なるほど。
林田パソコンに向かって仕事をしてるのはわかっても、そこで何をしているのか。ライターなのか、プログラマーなのか。外から見ていてもわからないとおもうんですよ。保育士さんとか消防士とか、パッとみてわかるような職業ではないですよね。
──はぁー、序盤からなかなか興味深い話になっちゃいました。
じゃあちょっと、本題の方に入らせていただいて…。この自粛期間中ですね、どんなこと考えてました?
林田僕の場合は就職とかキャリア支援をしているので、彼ら彼女らがどうなのかなって。
──いわゆる、高校生、大学生の若者たちが…。
林田まず、就活どうなるんだ?と。
そして、就活が変わると自分もどうなるんだろう?と。役割ってどう変わるんだろうと考えるようになりました。僕の場合は、リアルの場での講演になるので、イベントとして開催しづらいので。
オンラインでの開催であったり、延期になったり。オンラインでも、どうカスタマイズしなきゃいけないんだっけと考えたり。
──はい。
林田リアルの場での講演が上手くいってても、オンラインでの講演が上手くいくわけじゃないです。同じようなやり方をしていると、いつか淘汰されそうな気がするんですよ。
──そうですね。
林田話がうまくても…。オンライン独特の講演の進め方ってあると思うので、合わせていかないとダメなんだろうなと考えてました。
──ちなみにそのオンラインの場での講演は何度かされているんですか?
林田そうですね、何度か。録画であったり、ライブ形式だったり、ライブなんだけれども、こう、自分だけが話してる感じだとか。いろんなパターンを経験しましたね。
──実際にやってみてどうでしたか?
林田難しいなと感じたのが、使うシステムによっては相手が見えないんですよ。
──双方向のコミュニケーションではなくて、すべて一方通行になる?
林田そうなんです。相手が見えないので、どんなふうにファシリテーションしていけばいいのかも難しい。そこが課題かなと感じています。基本的には僕のガイダンスでは、わちゃわちゃさせたいのもあって(笑)
本編に関連する内容だったらいつ喋ってもいいし、要所要所で意見交換して〜だとか。それが理解を深めるのかなって思ってるんですけど、でもそのザワザワ感が見えないことに自分がすごくザワザワしてて。
──なるほど。
林田喜怒哀楽が見えにくいのが…。一対一だとこうして見えるんですけどね。
どうしても何百人が相手になってくるので。もちろん、リアルの場でもひとりひとり見るのは難しいですが、バーっと見渡したら、雰囲気は掴めるじゃないですか。そういう五感で得られる情報がないことが難しいなと感じますね。
──最近、友人とラジオをやってるんですけど、ラジオにすごく近いなって思いました。
林田はー!ラジオですか!
──ラジオの面白さって、リスナーの反応が見えないので、めげずに自分たちで面白くしていかなきゃいけない。ラジオのそれに近いのかなと。
林田すごくいい例えだし、納得感がありますね。自分たちでちゃんと盛り上げていくっていうフレーズが特に。
──例えば芸人さんだったら、コンビでかけあいながら面白さを出していく人たちもいらっしゃいますし、一人語り…落語家さんとか、アクセルとブレーキを使い分けながらやってる方もいるので、スタイルはもう色々でそれぞれ分かれるんですけど。僕もラジオしながら本当に暗中模索、手探りでやりながらやってる感じがあるんですが、オンラインもより手探り手探りになっていくんだろうな、とは思いますね。
林田確かに使うシステムはラジオみたいなところもあります。
──おもしろいです、オンラインでずっと講演活動をやられてる方のお話はまだ聞いたことがなかったので。
林田まだ駆け出しですけれど。
──あ、あと、今の大学生の就活ってどうなるんだろうとおっしゃっていたの、聞いてみたいです。
林田現状がどれくらい続くかもあるんですけど、周りがよく見えない就活になるなっていう話をよくします。
──周りが見えない就活。
林田今までは街でリクルートスーツを着ている人を見て、「あ、インターンだな」って分かるんです。そういう風潮があったので、もう動いてるんだ!とか、目に見えて分かったのが、今はインターンもオンラインでやろうとしている会社が多いですよね。そうなると、周りの状況が見えにくい中での活動になる。
──ぼくは、見えにくくなることがそこまで悪い事でもないんじゃないか?とも考えちゃったりしました。
林田スタートするタイミングを自分で決めるってだけですからね。ただ、スイッチを入れるタイミングは、人によって変わってくると思います。遅いから間違いってことは僕もないと思うんですけど、知らないで出遅れるのは勿体無いじゃないですか。
──ぼく、夏になると毎年思うことがあるんです。夏に半袖を着る人って、2通りいるんですよ。暑いから半袖を着る人と、周りが半袖を着ているのを見て、もう夏だと思って半袖を着る人。
周りの人が半袖を着ているから…確かに、就活においては多そうですよね。
林田なんでみんな同じ服着てるんだみたいなね(笑)合同企業説明会みたいなお祭りがあったり、周りがどこどこの面接行ってきたよみたいな話が、たぶんお昼ご飯の話題として上がっていたと思うんです。
でも今年はそれがないから、あいつ半袖着てたよ。みたいな会話が出てこないっていう(笑)
──この話は、きりがないくらい考えても尽きない話です。
林田コロナで何考えてるかっていう話題から全然違うところに。
──大丈夫ですよ。
逆に林田さんのほうで、話しておきたいことはあったりしますか?
林田「就職することがゴールじゃない」と、僕は強くメッセージしてて。僕自身がミスマッチしてるんですよ、銀行入って。
──そうなんですね。
林田就活してるときは内定を取ることがゴールで、内定を取るためにどういうテクニックを使うかっていうところだけに気を取られていて。
──それも、必死だったからですし。
林田改めて振り返ったときに、就職した後の事をしっかりと考える時間は少なかったなと反省してるんですよ。天職探しをしている人が多いんですが、天職なんて、実際にやってみないとわからないので。
──そうだと思います。
林田就活時に天職は見つからないかもしれないけど、入社した後どんな生活をしたいんだっけを考えるのはすごく大事だなって思ってるんです。就活に成功しても、就職失敗したら意味がないよね、と。
大手でも中小でも独立でもなんでもいいんですけど、なんでその道を選択するのか?は、やっぱりしっかりと考えてほしいです。
──そうですね。そこは、社会人であるぼくたちも絶えず考え続けたいことだとも思います。
いやぁ、今日もたっぷりと長くなってしまいました。林田さん、ありがとうございます。
林田いえ、おもしろかったです。こちらこそ、ありがとうございます!