猫のしっぽを踏んだら怒らせた話。

*「わたしの99%は理解できたとしても、100%理解できるわけがないんやから。なんでもかんでも、先にわかったようなふりせんといてよ。あんたに何がわかんのよ。」と、ちょうど4年ほど前のぼくに、4年ほど前の彼女は言った。今思えば、どうにかして彼女という人間を理解したかったのだと思う。理解したかったというか、知っておきたかったのかもしれない。いや、違うな、「彼女のことを理解しているぼくで居たかった」んだ。

初めて会った彼女は、他人との距離感の測り方が上手で、誰からも気に入られる存在だった。持ち前のルックスや、気の使い方、相槌や笑顔、すべてが彼女をきれいに映す。ぼくにはそれが、飼われるために上手に演じている野良猫のように見えて、どうしてもその奥を知りたくてたまらなくなった。彼女が立つ他者との絶妙な距離感は、「ここから先には足を踏み入れないで」という暗喩でもあったからだ。

「べつに、おれの前では普通にしてたらいいよ」と彼女に言ったのは、初めて会った日の夜、宿泊施設の外にあるベンチだ。ちょっと驚いた顔をして、目つきが変わったのを今でも憶えている。そこから朝まで、本音で彼女と話をした。不器用な彼女をほうっておけなかったとか、腹を割って話せる友人でいたかったわけじゃない。たぶん、ぼくが彼女に気に入られたかったんだと今ならわかる。そうやって何度も会い、話を重ねていくうちに、言われたのが冒頭の言葉だった。
 
 
 
そんな彼女と、1年ぶりに会って話をした。お互いの近況など、たわいもない話をしながらご飯を食べて、別れた。仲が良いからって、なにもお互いのことを知ろうとしなくたっていいんだと思った。彼女が今何をしていて、どんなことを思っていて、これからどうなろうか知らなくたって、仲良しでいれるんだ、と。ぼくはそれを知らないからこそ、心の中で彼女を応援した。べつに、何をがんばれってわけじゃないけれど。

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今日も、わざわざよんでくれてありがとうございます。
へたくそなエッセイだけど、どうしても書いておきたかった。

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